都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。

幼少の頃、駄菓子の買い食いの全面禁止を言い渡された私には、それを補うかのように絵本買い放題の権利を与えられていました。

その中でもイソップのシリーズには魅了され、そのどれもが強く心に残っています。

『北風と太陽』『うさぎとカメ』『アリとキリギリス』『金の斧銀の斧』『肉をくわえた犬』『その葡萄は酸っぱい』…もちろん『都会のネズミと田舎のネズミ』などなど。

それぞれに教訓があり、起承転結が大喜利っぽい。謎解きのミステリー小説好きに繋がったんだなぁと改めて納得です。

で、日本昔ばなしはどうだったかと言うと、キャッチーな部分は記憶しているものの、話全体を通じてどんなストーリーであったかを思い出せないものが多いのに気付かされます。

例えば、『金太郎』がクマと相撲したってのは分かるけど、その後どうなったのか? 彼が何を目指したのかが今イチはっきりしません。

『カチカチ山』のカチカチって何?

『さるかに合戦』の復讐劇に、臼だとか牛糞だとかが意思を持つ世界観ってどういうこと?

『舌切り雀』については、スズメの舌を切った事実以外、何も残っていない。

なんか日本の童話は残酷な展開が多く、R15みたいなのが多いのは、何故でしょう? 洋物は死にません。食べられたハズの赤ずきんちゃんだって生き返る。死ぬんだよなぁ、日本昔ばなし。だから、実は子ども向きじゃないんです。

そこに目をつけたのが、作家の青柳碧人です。

一寸法師』『花咲か爺さん』『鶴の恩返し』『浦島太郎』『桃太郎』のパロディとしての作品『むかしむかしあるところに、死体がありました』(双葉文庫)から始めて、その続編で『竹取物語』『おむすびころりん』『わらしべ長者』『さるかに合戦』『カチカチ山』『文福茶釜』のパロディである『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました』、さらに『こぶとり爺さん』『耳なし芳一』『舌切り雀』『三年寝太郎』『金太郎』のパロディの『むかしむかしあるところに、死体があってもめでたしめでたし』とシリーズを続けました。

日本の童話は殺人事件と親和性があるとの鉱脈を掘り当てたのです。

ミルクボーイやウエストランドの漫才みたいなもんで、パターン化すると筆が進んでいく。そういう手法があるんですね。勉強になりました。

だけど、面白かったかと聞かれると、私には文体が合いませんでした。今野敏だったら、もっと面白くなるような気がします。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 13点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 14点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 14点

【合計】75点