都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

警察の世界は、キャリアと呼ばれるエリートが上にいて、相撲界とは対照的な組織構造となっています。

そこでは、現場の知識や経験よりも上司の顔色を窺う人間関係のセンスこそが出世のカギを握っていて、情報を遮断するなど、風通しが悪いことこの上ない。警察小説では、意地の悪い人たちがいっぱい出てくるのが常道です。多分、そうなんでしょう。必要以上に検挙率を競わせるもんだから、やり過ぎることもあるようで。

先日放送された『ノンレムの窓』のバカリズム脚本「有終の美」は最高でした。

遠藤憲一演ずる定年間近のベテラン刑事が、執念の末にやっとの思いで掴んだ10年前の殺人事件の犯人でしたが、その犯人とおぼしき男が自首するために、警察署へ出頭しようとしているところへ出くわす設定です。そのまま出頭されてしまうと自分の手柄にならないので、思いとどまるように説得を試みるというナンセンスぶりで、よくもまぁこんなことを考えるなと衝撃を受けました。なるほど、警察の手柄争いをデフォルメすると、こうなるかと。小説は、こんな風に組み立てていくんだと勉強になったのであります。

 

『痣』(伊岡瞬著・徳間文庫)は、妻を失ってやさぐれていた刑事が、左遷された田舎の警察で猟奇殺人事件を捜査することになって、モヤモヤしていく話です。昼夜を問わず、捜査に没入していくと、良好な家族関係を築けなくなるってこと、良く分かりました。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 15点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点

【読後感】爽快感・オススメ度 17点

【合計】82点