警視庁に『相棒』に出てくる特命係などという部署は存在しないんだそうです。
あったら面白そうだけど、縦割り組織の警察機構でその役目を全うするには、余程の上からの圧力がないと自由になんか動けません。
だからなんでしょうね、実際の犯罪捜査においては、縄張り意識が邪魔になって、前へ進まなくなることがあるらしい。
それぞれに検挙率のノルマがあって、同期に対する優劣やキャリアノンキャリアの確執など、協力し合うことを難しくする縛りが二重三重です。
だけど、お互いの能力を掛け合わせれば、相乗効果が期待できるってこと。
古くは『サイボーグ009』みたいな特殊能力を持ったプロフェッショナル集団、最近でいえば『アベンジャーズ』いや『オーシャンズ11』かな。
そういうのがあったら面白いと、警察小説にはそういう背景が持ち込まれています。
『ボーダーズ』(堂場瞬一著・集英社文庫)は、警視庁に新しく組織されたSCU(特殊事件対策班)を巡る物語です。
ここには、あちこちに人間関係のネットワークを持つ武道の達人と生まれながらにしてリーダーの素養を持つ美貌の女性、PCに強くレーサー並みの運転技術を持つ男、そして細かい点を見逃さない眼力の主人公が抜群のチームワークを発揮して、事件解決に当たります。
まぁね。そういう刑事たちが本当にいれば、そりゃあ魅力的です。
組織を跨ぐ境界線上に起こる事件を扱うから「ボーダーズ」。シリーズ化されるようで、登場人物のキャラを立てて、テレビドラマを意識しています。売れてる作家は、商売が上手いねぇ。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 15点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 16点
【合計】80点