都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

マスカレード・ナイト

作家の松岡圭祐は、その著『小説家になって億を稼ごう』(新潮新書)で、まず始めに登場人物のキャラクターを現存する俳優から選び、それぞれのプロフィールを事前に設定しておくよう奨めています。

それまで私は、小説が最初にあって、それに合わせた役者を当て嵌めるものと思っていましたが、なるほどそういうやり方があるのかと感動してしまいました。

東野圭吾の小説は、そうとしか思えないほどに映像がマッチしています。加賀恭一郎シリーズの阿部寛ガリレオシリーズにおける湯川教授役の福山雅治。こうやって印象付けておくと、その後の展開が立体化していきます。勝手に脳内操作して、二次元が三次元に飛び出していきます。なるほどねぇ、小説を読ませるってことは、それが実際にあるかのように脳内変換作業を促すことですからね。

で、味を占めた彼は、マスカレードシリーズに木村拓哉長澤まさみのコンビの刷り込みに成功しました。

『マスカレード・ホテル』『マスカレード・イブ』『マスカレード・ナイト』と作り上げていきます。

テルマンと刑事とが、見えないものを見ようとする点において一致していることの発見が、鉱脈を掘り当てた感じです。

『マスカレード・ナイト』(集英社)はシリーズ三作目です。

ワンルームマンションで一人の女性が殺害された事件について、警視庁に密告状が届きました。事件の犯人が、ホテルのカウントダウン・パーティに現れるという情報です。 そこで、ホテルへの潜入捜査が始まるというストーリーです。

これは、先に映画で観ていたので、いろんなシーンが鮮やかに甦り、一気読みでした。ただし、展開が分かってしまっているので、意外性は半減したのは残念だったかも。それにしても、東野作品は文章が平易で読みやすい。流石だと思いました。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 17点

【合計】86点