都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

海神(わだつみ)

滅多にないような大地震によって、その土地が壊滅的な被害を受けたとき、火事場泥棒のような非道な輩がやって来て、平気で悪さを企むような事件が起きます。そういうのは絶対に許さないというのが、フツーの日本人的な感情ですが、だからこそスキが出来る。出かける時に鍵をかけないってのは、どうぞ何でも持って行ってくださいと理解する人が結構多いのかもしれません。

そんな中で復興のための支援金が下りたとしても、その使い道についてはアバウトなところがあり、目的とは違う方向で搾取されてしまう。全く油断ならないのであります。

 

海神(染井為人著・光文社文庫)は、東日本大震災で大打撃を受けた行政の手が届きにくい離島に対し、振り分けられた復興支援金を横領しようとする似非ボランティアを巡って、振り回される人々を描いた作品です。大切な人を津波で失ったとしても、その死体が確認できなければ、生きているかもしれないと思うわけで、そう簡単に割り切れるものではありません。死んでしまった事実を受け入れたとしても、明るい未来が開けているわけでもなく、生きていくのは大変だということを痛感させられました。

心理描写が巧みな染井為人ですが、この作品については思いが強過ぎたようで、リアリティが感じられなかったかな? 

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】爽快感・オススメ度 16点

【合計】81点