『古畑任三郎』のシリーズで、松村達雄が演じる親方様と呼ばれる村長さんが、絶対的な存在としてその村を仕切り、村人は崇め奉って、言いなりになるってストーリーがありましたが、そういう閉鎖性こそが田舎であって、権威にどんどん擦り寄っていくのが保守の所以なのであります。
とにかく田舎は、過去の因習を踏襲する。
そんな中で、利害が一致したときはいいんだけど、そうでなければ酷い目に遭います。同調圧力ってことで、イジメの構図に繋がるのであります。それが田舎。ルールが違うってこと、わからない人にはわかりません。
『震える天秤』(染井為人著・角川文庫)は、高齢ドライバーの免許返納に始まって、限界集落の存在、そしてコンビニ経営の問題点に迫ります。私は、準限界集落の生活様式を目の当たりにしたことがあるので、理不尽なまでの隠蔽体質が理解できました。都会の人が考える情の世界は、煩わしさと裏腹であり、嫌だと思う人はホント、鬱陶しいものです。そこのところ、染井為人は人物描写の天才です。面白かった。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 20点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 18点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 20点
【合計】93点