都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

滅茶苦茶

銀座の覆面強盗は、白昼堂々大胆過ぎてビックリですが、これが成立したのはコロナの影響であると思います。

つまり、世の中がマスク社会となって、顔が隠れていることに違和感がなくなったのではないかと。むしろ、顔を剥き出している方が目立ったりして。

なんでしょうね、口元が見えないと表情が読めないから、強面でなくてもなれます、犯罪者。

そうやって考えたとき、ほとんどのテレビドラマでマスクをしていないこと、理解できます。そりゃ、そうだ。

 

染井為人の最新作『滅茶苦茶』(講談社)は、主人公の一人である高層マンションに住むキャリアウーマンが、朝のゴミ出しのとき、うっかりマスクをし忘れて、エレベーターで一緒になった老婆になじられるってことから始まります。ウマいねぇ、エピソードトーク

本編は、コロナ禍によって人生の歯車が狂っていく男女3人が主役として展開していきますが、世間から少しずつズレていくそれぞれが、誰にでも起こり得るとリアルで、ゾクっとします。誰もがみな、いい人だったんですけどね。深い闇に引き込まれていくのがホラーです。

それにしてもの染井為人、相変わらず人物描写が秀逸で、文章表現も魅力たっぷりです。グイグイと引き込まれての一気読みでした。96点。