赤い糸とは、目には見えないけれど、やがて添い遂げる運命の男女が初めから結ばれているということを表す言葉です。
古事記によると、赤い糸は赤土がついた糸だったそうです。 赤土には「邪を防ぎ相手を特定する力」があると言われていて、それが「運命の赤い糸」の由来だと言われています。 そして、この手のスピリチュアルな運命論の話は日本だけではなく、世界各国に存在しています。どこの国でも糸の色は赤。赤は血液を連想させ、聖なる色とされているんです。
これに対し、黒い糸ってのもあります。
黒い糸で結ばれた関係を端的に言うと、前世からの因縁があって運命的に悪い関係になることが決まっている相手のことを差しています。親密になるほどにお互いに不幸になってしまうために、避けるべき関係だとされているんです。
負の関係になることが最初から決まっているので、近寄ってはいけません。それが運命の黒い糸。
『黒い糸』(染井為人著・角川書店)は、結婚相談所にアドバイザーとして働くシングルマザーの主人公が、顧客とトラブルを起こし、無言電話などの嫌がらせに苦しむ中、息子の通う小学校で同級生の女児が失踪する事件が起きて、ドロドロした人間関係の中に引き込まれていく話。妙に大人びた小学生や正義感の強い教師、年齢が離れていながらも頼りになる同僚など、クセの強い登場人物たちが、物語を引っ張っていくんだけど、想像の上をいっていて、今ひとつ共感できませんでした。
染井作品としては、物足りなかった。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 17点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 17点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 15点
【合計】81点