都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

回帰

警察を舞台にした小説には、いろんな刑事が登場します。

そこで感じるのは、正義感の違い。

極端なほどの階級社会の中で、警察組織にはダークサイドの一面があり、それとどうやって折り合いをつけるかがメインテーマだったりします。

清濁合わせ呑むって態度が試される。それは、普通の会社に当てはまることなので、多くの共感を得るのでありましょう。

プロ野球の監督を見て、マネジメントを語るのに似ているかもしれません。

 

『回帰』(今野敏著・幻冬舎)は、大学の構内で起きた爆弾事件をめぐり、国際テロだと考える公安部と刑事部がせめぎ合うという警察小説ではよくある話なんだけど、一味違うのは両者が歩みあって協力態勢を築こうとするところです。それも刑事によって、微妙な温度差があるわけなんですが、その心理、人間模様が本作の醍醐味であったりします。

今野敏の作品は、会話体でストーリー展開させていくので脚本っぽいのが特徴ですが、だからこそ高確率でドラマ化されていくのだと思います。

読者にとっては、行替えが早いため、スピード感をもって読み進められるのもいい感じ。読後感も良かったです。

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 16点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 17点

【合計】85点