イギリスの元首相であるチャーチルは、「20歳のときにリベラルでないなら、情熱が足りない。40歳のときに保守主義でないなら、思慮が足りない」という言葉を口にしたそうです。最近は、左翼という言葉が死滅し、保守とリベラルとに分けられるのが政治思想のようですが、明確に線引きできるものでもなく、その解釈が難しくなっています。
右だとか左だとか、極端なのを嫌うのは、時代だなぁと思います。多様性を認める時代。
そんな中、国防に関する議論では、曖昧を嫌う右翼と先送りしようとするリベラルとで、路線の違いがハッキリしています。
憲法9条の解釈と自衛隊の存在について。なんちゃって右翼の私としては、世の中の情勢によって変わらざるを得ないと思っています。世界の警察がいなくなりつつあるんだから仕方がない。なんてね。
『カエルの楽園』(百田尚樹著・新潮文庫)は、平和憲法を掲げる日本の国に問題提起した寓話です。
いやぁ、こんなことよく考えるなぁと唸ってしまいました。
世界情勢をカエルの部族になぞらえて、平和とは何かを考えさせる大人のための童話なんだけど、架空の国「ナパージュ」が、ジャパンのアナグラムであるところ、作者の遊び心が活かされています。面白い。
百田尚樹という人は、物事を百ゼロで一刀両断し過ぎるところが受け入れ難いんだけど、才能は凄いと認めざるを得ません。いろんなことについて、しっかりした意見を言えるってのが羨ましいです。
この本、是非一度読んでもらいたい優れモノです。てか、田嶋陽子と志位和夫には読んで欲しいなぁ。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 20点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 17点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 18点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 20点
【合計】91点