警視庁は警察庁の下部組織にあたるんだけど、警視までの給与支払いについては、東京都が支弁しており、予算の元締めは東京都知事ということになっています。つまり、都知事は警察に対して多大な影響力を持っていて、いろいろ逆らえない現実は公然の秘密です。都知事って偉いんだ。
ってこと、知らなかったけど、石原慎太郎が尖閣列島を買おうとするなど、総理大臣以上に伸び伸びやっていたのをなるほどとばかり、思い出します。警察的なものでさえ、蓋をすることができるのを知れば、結構暴走できちゃったりする。う〜ん、石田純一なんか選んじゃいけません。
『ゼロ打ち』(相場英雄著・角川春樹事務所)は、 大手新聞社の女性記者が、唐突な解散後の衆議院選挙で選挙報道センターに配属され、激戦区の東京一区を担当することになったものの、政治の裏側のドロドロを知ることになり、政界暗部とマスコミの癒着に斬り込んでいく話です。
ゼロ打ちというのは、選挙の開票開始直後の開票率0%に近い段階で当選確実を打ち出すことをいうのですが、テレビをはじめとするマスコミ各社はそのスピードを競っていて、それはトクダネ争いと同じ価値をもったものだと言います。一般の我々からすれば、どこが先に当選確実を報じようと、どうでもいいことなんだけど、業界の中では違うらしい。どこよりも早く正確に情報を打ち出せるということは、事前の情勢分析も信用できるってわけで、政治を生業にしている人にとっては、たくさんお金を積んでも欲しいネタなんです。例えば、岸田政権が解散を打ち出せないのは、信頼できる筋の情報に基づいているって話で、その拠り所がどこかってこと。プロ野球の順位予想と違って、正確無比が第一なのです。
それと、物語の中に「選挙余剰金」という話も出てきて、これがまたドロドロしていて、まぁ、相場ワールド全開です。時節柄、ほーんと、オススメの一冊です。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 20点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 19点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 17点
【読後感】爽快感・オススメ度 18点
【合計】92点