私が通っていた高校は、一学年900人のマンモス校だったので、多岐にわたったクラブ活動が盛んで、射撃部・航空部・自動車部・少林寺拳法部・ディベート部・仏教青年会・奇術部などバリエーションに富んでおり、選び放題でした。
その中で異彩を放っていたのが、ワグネル・ソサエティーです。
何の集まりだか分からない。
楽団でした。吹奏楽部って言えばいいのにカッコつけやがって。ドイツの作曲家である「歌劇王」リヒャルト・ワーグナーにちなんだネーミングとのことで、ワーグナーには先進性や伝統に縛られない自由な発想、そして新しいものへと挑戦する開拓者精神といった理想が込められているんだそうです。
代表曲は『ワルキューレの騎行』。映画『地獄の黙示録』で使われたスケールの大きな音楽だと言えば、思い浮かぶでしょう。
ワーグナー。日本での認知度はそれほどでもないけど、ヨーロッパでは政治的なメッセージ性も持つ(ヒトラーのお気に入りと言われた)超一流ブランドなのでありました。
ウクライナの戦争で、隠然と力を持っているのがプーチンの盟友プリゴジン率いる『ワグネル』と呼ばれる民間軍事組織です。
ロシア政府がネオナチと揶揄されるワグネルを利用するってのは不思議な話ですが、それはプーチンとの個人的な繋がりで、ワグネルとロシア軍部は対立関係にある複雑な構図のようです。だから、ワグネルの存在は獅子身中の虫でもあるわけで、まさに地獄の黙示録なのであります。