小説を読むときに、単行本か文庫本かの選択があります。
新刊を早く読みたい場合、単行本ですが、値段が高いのと嵩張るのが欠点です。
文庫本は、コンパクトかつ経済的。寝っ転がって読むのに丁度いい。第三者による解説が付いているのもポイントが高いところです。
『看守の流儀』(城山真一著・宝島社文庫)は、文芸評論家・池上冬樹のこんな文章で始まります。
「いやあ面白い!…実によく出来ている。見事だ。…ここまでミステリー的な謎解きを持たせ、同時に激しい人間ドラマを作り上げるのには驚きの一言。誰もが筆力に圧倒されるのではないか。帯に、横山秀夫が“これは久しぶりのドストライクだった”と賛辞を寄せるのも納得である」
全くの同感です。
五つの短編からなる刑務官と囚人の人間物語ですが、それぞれが見事に絡み合って、心を熱くさせます。この作者、只者ではありません。一発でファンになりました。こういう本があるから、読書はやめられない。96点。