『ダーティーハリー』シリーズが面白いのは、極悪非道の犯人に立ち向かうために、常識外れの行動に出る破壊を厭わない、だけど刑事って設定です。大砲並みの破壊力を持った拳銃を持ち歩く。銃社会のアメリカでは、当然の対向処置ですね。そうでないと、身が守れない。こういう男は、市会議員になれないけれど、一部の女性にはたまりません。矢島金太郎みたいな存在。そして、そういうキャラは、一部の男性にも支持されます。いや、カリフォルニア州知事くらいまでなれるのかも。少々乱暴でも、筋が通ってるってのは重要なんです、黒川元検事長。
ヤクザものがウケるのは、そういうことです。四萬切ってペン七萬待ちなんてことはしないのが、極道の麻雀なのであります。
中五日で読みました、柚月裕子。『虎狼の血』に続くシリーズ第二弾は『狂犬の眼』(角川文庫)です。
前作とは違って、田舎の駐在所が舞台のおとなしいスタート。そんな場所だからこその隠れ家に、何よりも仁義を重んじる指名手配犯が紛れ込みました。そこから拡がるストーリーは、テンポよく、田舎特有の濃密な人間関係をベースに意外な展開を繰り広げます。
いやー、面白かったです。今年一番かな?95点をあげましょう。