都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

不道徳教育講座

山中湖の文学の森には『三島由紀夫文学館』というのがあります。

直接のゆかりはないものの、彼が自衛隊を信奉しながら体験入隊で近くで訓練を重ねたことや、小説の舞台としてたびたび描いたこともあって、遺族の意向からそこに設立されたと言われています。

三島と言えば、私が中学生のころ、突然自衛隊の市ヶ谷駐屯地に押しかけて、割腹自殺した狂信的な右翼の人であり、高倉健によく似た風貌で直ぐに脱ぎたがるマッチョ、だけど、危ない人であるとマイナスのイメージでインプットされていました。

自衛隊を合憲化せよとの憲法改正を訴えたらしいんだけど、そこまでしますかねぇ。

そういうこともあって、『金閣寺』『潮騒』『仮面の告白』などの小説は読んだことがありません。ノーベル文学賞の候補だったと聞いても、ふーんって感じです。

しかしながら、齋藤孝が著書の中でオススメ本として『不道徳教育講座』(角川文庫)なるエッセイを挙げていたので、小説でなければ読みやすかろうと取り寄せてみました。

なるほど、AはBであるという決めつけがスパーンとしていて、分かりやすい。男たるものかくあるべし的な表現が、今の時代に合わないかもしれないけど、マッチョな思想は聞く分には面白いです。この家の子だったらイヤだけど。何となく石原慎太郎っぽくもある。モテそうだわ。

強く印象に残ったことを列挙します。

 

・教師を内心バカにすべし

   学校の先生というものは、乗り越えられなければならない存在であるからだ。

・大いにウソをつくべし

   ウソをつくには頭脳と神経の浪費を要し、大変なエネルギーが要るので、面倒くさがり屋にはウソをつけない。

   だけど、頭脳鍛錬法として、ウソはなかなか有効である。

・できるだけ自惚れよ

   恋愛から自惚れを差し引いたら、味気なくなってしまう。恋人同士が一緒に居て退屈しないのは、自分たちの話ばかりしているからだ。

・人の恩は忘れるべし

   幸福や恩は現状からの向上に関係していて生命の方向と同じだから忘れやすいが、不幸や怨みは逆行するから忘れられない。

・たくさんの悪徳を持て

   人を悪徳に誘惑しようと思う者はその人の善い方の性質を100%利用しようとする。騙されない秘訣は善い性質を極力少なくすることだ。

・子持ちを隠すべし

   男はどこかに孤独な岩みたいなところを持っているべきだ。我が子が可愛いという感情は猥褻で他人に示すべきではない。

・「モテた」は恥ずかしい

   女は「モテた」と言わない。「モテた」は男性独特のさもしい根性と夢見がちな自己陶酔の表現なのだ。

 

他にもいっぱいあるけど、使用されている語彙が豊富なので、軽くバカにされたような気にもなります。

程よい知的なパンチは、脳の活性化に繋がるのであります。