世の中の人手不足は、状況がどんどん悪化しているようです。
仕事はあるんだけど、やる人がいない。
いや、仕事が欲しい年寄りはたくさんいます。だけど、多くの職種は若くなきゃダメなんです。
たとえば、スターバックスやマクドナルドがイメージを大切に、ユニフォームをオシャレにしつつ、アルバイト勧誘に余念がない。
お客さんがたくさん訪れる居酒屋なんか、もっとそうで、モタモタしてると危なっかしいし、ましてや酔客相手だったりすると、トラブルに発展しやすいので、店員は若い方がいいんです。しかしながら、そういう仕事に発展性がないので、若くてもバイトでしか雇えません。
そこで、大学生を供給源とするのが誰でも考える常套手段です。優秀な学生の奪い合い。
大手のチェーン店では、バイトを辞めさせないためのマネジメント法がマニュアル化されているといいます。怒鳴り散らすのはもってのほかで、名前を「さん」付けで呼ぶ、敬語で接する、「お客さんから君の接客を褒められたよ」などと必要以上に積極的にほめて承認欲求を満たす、といった具合です。なるほどねぇ。
これはと目をつけられたバイトは、時給を上げてもらったりもする。こうした状況の中で、転がされてやる気を起こし、周囲の期待以上に頑張る学生も少なくありません。
いつの間にか、店長扱いされて、仕入れや売り上げの管理、顧客のクレーム対応、ほかのバイトたちのシフト作成なんかも請け負うようになります。こうなると、穴が空いたシフトに自分が入り込むようになって、大学どころじゃなくなっていくのです。
こういう学生は「バ畜」と呼ばれています。会社のために、まるで家畜のようにがむしゃらに働かされている人を意味する「社畜」に倣うように出てきた言葉が「バ畜」。学業やプライベートを投げ打ってまで、アルバイト漬けの日々を送る大学生をそんな風にディスっているんだそうです。
大学生自身に明確な目標がないってことが根底にあるんだけど、進学率が軽く4割を超える現状も疑わしい。つまり、この期間をモラトリアムだと考えるのを許す世の中に問題が潜んでいるのです。
いろんな技術や仕組みが進化して、将来に進むべき道がどんどん見つけにくくなっています。YouTuberみたいな仕事を見せつけられると、余計にそう思うかもしれない。
自分を見失って流されていく現実。「バ畜」ねぇ。これもなんか宗教っぽくもあるのであります。