都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

サドンデス

新自由主義は、小さな政府と市場の自由を目指す考え方で、アメリカのレーガノミクスに始まって、イギリスのサッチャーが追随し、それがグローバルスタンダードだと中曽根から小泉へと繋ぎながら、日本でも舵が切られました。

国民が福祉や雇用保障と引き換えに、自由と責任を受け取る経済思想です。五体満足で健康で、経済についての知識も仕事の能力もある人にとっては、願ったり叶ったりの考え方といえるでしょう。

しかし世の中には、障害や病気、介護や子育てなどで、競争社会から一歩引いている人も大勢います。いわゆる弱者です。

ひと昔前、大学の学費は親が支払うことが当然でした。けれども、慢性的な雇用不安や格差拡大を背景に、現代では大学進学までの学費を負担できない家庭も多くなっています。そのため、自力で学費を捻出しなければならなくなっている学生も珍しくありません。バイト漬けの学生。

長時間のアルバイトで疲弊し、学業が疎かになってしまうのは本末転倒ですが、もともと大学で学ぶことにハッキリしたモチベーションを持っていなければ、そんな状況に陥りやすい。特に女子の場合、ファッションや持ち物などで格差を感じやすいため、できるだけ時給の高い仕事を求めるようになることもあるっちゃある。

『サドンデス』(相場英雄著・幻冬舎)は、そういうところを切り取って、膨らませた物語です。

平凡な女子大生が、父親の失踪と母親の病苦によって、ガールズバーに身を投じたところ、スカウトされて京都・祇園に新規開店するお店を任されて、SNSでシンデレラ扱いされるけど、フォロワーが増えるにつれ、得体の知れないアンチも多くなり、謎の恐怖に付き纏われると。簡単に言えば、そんな感じです。

そんなバカなと妄想が広がり過ぎなのは否めませんが、そんなこと、よく考えるなぁと驚きもさせられます。

いや、案外、これに近いようなことが行われているのかも?

 

【テーマ】タイトル・時代性・学習性 18点

【文章技巧】読みやすさ・バランス 18点

【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 16点

【構成】つかみ・意外性・スピード感 16点

【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 18点

【合計】86点