芸能人はどこにいても顔が差すので、油断なりません。
ムスッとしてると、エラそうだなんて言われます。
だから、眼が合ったら、ニコッと返さなきゃならない。
疲れますね。
それで、サングラスをかけるんです。
オシャレだからじゃない。視線隠し。
新幹線なんかに乗って、面倒くさいのは修学旅行。
探してますからね、有名人。
だから、そばにいる人は覆うような位置取りをして気を遣います。
反対に、目立ちたいときもあります。
本人がいるのに、大きな反応がないのもつらいところ。
芸能人が楽屋から外へ出て行くのを待っていることを“出待ち”と言いますが、そういうのが嬉しい人もたくさん知っています。
サインもそう。
たくさん頼まれても、全然面倒くさがらない人がいます。
大将がそうでした。
いつも自前の筆ペンと落款を持ち歩いています。
それはもう見事な達筆でほれぼれします。
私が思わず「スゴいですね、こんな(字の)上手い人、見たことがありません」と言ったところ、こう返されました。
「字っていうのはね、人に見てもらうために書くの。だから、上手くなきゃ意味がないの」
なるほどねぇ。
こんなセリフ、上手くなきゃ言えませんね。
でも、読めなきゃ意味がないのは確かだし、上手いほうがいいのも間違いありません。
いただいた色紙は額に入れて、お店に飾ってあります。