都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

現場百回

確か森村誠一の『人間の証明』だったと思いますが、「読んでから観るか?観てから読むか?」という映画のCMがありました。
評価の高い文芸作品が映画やドラマ化されるのは、よくあるパターンですが、なかなか原作を超えるのは難しいようです。
そんな中で、東野圭吾の作品は、次々に取り上げられるので、それこそ読んだことがない人でも、観たことがあるってのが多いんじゃないでしょうか。
でもって、『ガリレオ』の湯川教授は福山雅治、加賀恭一郎シリーズは阿部寛というイメージが強くなり、テレビ放映以降、小説に搭乗しても、それぞれの顔で、声で、イメージができあがっているように思います。
うーん、そういう風にしか読めません。
すごいなぁ、芸のチカラ。
おそらくは、登場人物たちは、その役になりきるために、何度も原作と向かい合ったことでしょう。

さて、東野氏の最新作は、東京・日本橋が舞台の加賀恭一郎シリーズ『麒麟の翼』です。
相変わらずの心理描写は見事なもので、細部にこだわって納得いくまで現場を歩き回る加賀スタイルが痺れます。
穴の開いた靴下を履き替えたとか、ファミレスではココアばかり飲んでいるみたいな些細な情報から、仮説を導きだしたり、時間を潰すためだったら何をするかと被疑者の立場になってみたり、有能な刑事はかくあるべし的な態度を貫かせ、読者をドキドキさせるのです。
そういうのが偶然だと思う人には、興奮が伝わらないけどね。

この本も、もちろんオススメです。
『赤い指』『新参者』から続けて読むと、さらに楽しいのであります。