小さいころから神童の名をほしいままにした私にも、どうしようもなく苦手が三つあります。
それは、若い女性と機械類と英語。
だから、目茶苦茶若くてキレイなアメリカ人のプログラマーなんかやって来た日には、イチコロです。
おばちゃんは、得意なんだけどねぇ。
今朝一番のお客様は、自転車に乗ったアメリカ人男性でした。
「オッハヨーゴザイマス。コーヒーイイデスカ?」
開店は11時にも関わらず、そのときはまだ9時半。
準備に追われて、お店の中はぐっちゃぐちゃだけど、それを説明できません。
「オーケーオーケー」
断るよりも受け入れちゃったほうがラクだから。
鳩山さんみたいなもんです。トラストミー、違うか?
「ンー、メニューイイデスカ、モーニング?」
「アー、パンアリマス。ブレッド、メダマヤキ…サニーサイドアップ?」
「ソレ、イイデスネ。パン、クダサイ」
「ワッカリマシタ」
もう、なんだか変な日本人になってます。
なめられちゃいけないと、サニーサイドアップは二個で勝負。
コーヒーはいつもと違うブルーマウンテン。
これも、なめられちゃいけないからねぇ。
「(小声で)アオヤマデス…」
「オゥ、コーヒー、アリガットウゴザイマス」
何でも、神戸に住んでいて、今日は長門から門司へ向かう途中だとか。
それにしても、会話がヘンです。占領下の日本人って感じ。
疑問がいっぱいあるんだけど、関わりたくありません。
「コーヒー、オカワリ、イイデスカ?」
飲み放題じゃないから、お金かかるんだけど、説明すると面倒くさいし、みみっちいこと言って、なめられたくないし…
「オーケーオーケー」
やれやれ、何かもう、疲れる。
なめられたくないので、スイカまで出しちゃいました。
「コノアタリ、ホタル、タクサンデマース」
「オー、キノウハホテルニトマリマシタ」
「……」
こういうときは、キャンディーをイントゥー・ザ・マウス。
なめられちゃいけないからねぇ??