フランスの昔話に『三つの願い』というのがあります。
貧乏暮らしの老夫婦のところに天使がやって来て、願いを三つだけ叶えてやると。
妻が思わず一メートルサイズのソーセージが食べたいとつぶやいたので、まず一つめが成就。
そのバカバカしさに腹立てた夫が「そんなもの、お前の鼻にくっついてしまえ!」で二つめ。
最後のお願いは、ソーセージを鼻から外すでした。ヘーンなの。
損保会社の通報で、やって来た作業員は、引っ張りたくて堪りません。
自動車修理工場とは言え、今はレッカー運転手なので、引っ張ってナンボの契約なんでしょう。
直そうという意思が見られない。
「これだけ(バッテリーが)弱ってるってことは、ほかに原因があるかもしれないので、調べ てみる必要がありますね。運転中に停まってしまうかもしれないし」
「それじゃ、おたくの工場に持っていってもらえません?」
「いやぁ、うちは外車をやってませんのでねぇ。とりあえず、お店まで運びましょう。そこ で、専門の人を呼んだらいいと思います」
こうしてサンダーバード2号みたいなレッカー車に乗せられて、コンビニから4キロの『うみやま倶楽部』へ帰還いたしました。サンダーバード4号みたいな私。
うーん、困った。
無医村に暮らして、高熱と下痢が続いている感じです。
ってことは、クライスラー車を扱っているディーラーへ電話するしかありません。
部品のこともあるし。
調べると、最寄りの販社は、お店から55キロ離れた山口市でした。
本当は、レッカー移動でそこへ持っていくべきだったのです。
いえ、事故の案件としては解決していないのだから、粘ってみる手があるかも。
すかさず蓄膿のオネーサンに電話すると、秒殺でした。
「一つの事故で、無料レッカーサービスは一度だけなんです」
クスン、さっきは親身になってくれてたのに。
キャバクラの女性をデートに誘って、フラれた気分です。
(つづく)