「いやぁ、今年は優勝は無理だと思っとったよ」
「問題が続出しましたからね」
「あのバカが、大昔の契約金を掘り起こしやがって」
「上限額というのは、あくまで内輪の申し合わせにすぎません」
「10億ぐらいでガタガタ言うから、メジャーに持っていかれちまうんだ」
「あの後、監督の愛人問題が発覚して」
「普通、暴力団関係者に1億払ったなんて知れたら、時効だとしてもまず、ダメだろうな。キミをコミッショナーにしておいてよかった」
「まぁ、とぼけるのに苦労しましたよ、ホント」
「ところで、キミに指示したボールの件だけど、国際基準としても厳しすぎないか?」
「言われたとおり、M社に任せたんですが」
「飛ばなすぎるよ。野球の華はホームランだからな」
「分かりました。早急に対応させましょう」
トップが知らないのは、どうでもいいことであり、ワンマン経営者の取り巻きは、そのへんを弁えています。
逆に言うと、どうでもよくないことは、必ず判断を仰ぎます。
何故なら、ワンマンだからです。
それを判断できるのは、一人しかいない。
だから、統一球の反発係数を変更したりするのに、ご意向を伺わない訳がありません。
ましてや、球にはコミッショナーの名前が刻印されているのですからね。
「私が言い出したんじゃありません」って言えばいいのに。
どうも、マスコミの追及が甘いのは、同業者だからでしょうか?
それとも、スポーツ記者のレベルが低いのか?
もやもや感は、当分消えそうにないなぁ。