「いやぁ、変更しろと言われても、在庫がたくさんあるんですよ」
「オープン戦で使い切ってしまえばいい。オーナーが気にしているのは公式戦だから」
「そんな話、選手会が納得しますかねぇ?」
「そんなの、だまっときゃ、わからないじゃないか」
「バレるような気がしますけど」
「そもそも、あんたのところが中国なんかで不良品を作るから、こんな話になったんだ」
「それは、安く抑えなきゃいけませんから」
「統一前は、四社が入っていたんだぞ。誰のお陰で、独占できたと思うんだ?」
「そのへんは、こちらとしても相応のお礼をしているわけで」
「だから、在庫はうまいこと使い切るようにしてやるよ、ったくぅ」
コミッショナーばかりが矢面に立っておりますが、用具メーカーにだって、責任があります。
一社独占に至った経緯は、今後、『文春』『新潮』が明らかにしていくでしょう。
あと一つ問題があります。
「ところで、絶対に辞めないでくださいよ」
「私はもう疲れた。孫がイジめられとるようなんだ」
「いや、ホント、困るんです」
「なんでだ?」
「お名前の刻印がねぇ…、今度は大丈夫だって言うから、たくさん作っちゃったんですよ」
「また在庫かぁ…」