最近は見なくなりましたが、蛭子能収という漫画家は、ドラマや映画で引っ張りだこでした。
セリフは棒読みだし、表情の変化も少なく、演技から程遠いのですが、逆に言えば、誰にも真似できない自然体で、存在していることが他の役者の上手さを引き出しています。引きの演技ってことで、こういうのもアリだなぁと思います。
先週末は、U-NEXTで道尾秀介原作の『カラスの親指』を観ました。
阿部寛主演の詐欺師のドラマですが、配役が見事で、2時間半の長丁場にも関わらず、すっかり引き込まれました。
何と言っても能年玲奈のデビュー作で、村上ショージと並ぶヘタクソなセリフ回しでしたが、圧倒的な眼ヂカラで光を放っています。
石原さとみは、能年玲奈の姉役ですが、珍しくも見事に気配を消して、端役に徹しておりました。
そして、観客も騙されますよ。演技が下手な方が詐欺に向いていると、しみじみ思いました。題名もいい。
好き嫌いがあるかもしれませんが、ストーリーのあちこちに伏線が張られていて、映像も美しく、ハートウォーミングな名作でホッコリしました。92点です。