都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

草野球必勝法④

あるとき、生命保険協会からリーグ戦に参加しないかと誘いがきました。
ここでは準硬式、いわゆるプロ野球仕様の硬式ボールほどではないものの、軟式とは全く違う石みたいに硬いボールを使用します。
このボールを使うと、試合内容は一変します。何せゴルフのドライバーショットみたいに打球が伸びていきますから、そりゃあもう快感です。

二つ返事で加盟を決めました。こうなると、こっちの方が面白い。
しかしながら、未経験の運動オンチでもできる草野球の雰囲気ではありません。当たりどころが悪いと死にますから。
かくして、我が野球部は、硬式の高校野球経験者のみが活動するようになり、本気度が増していきました。

軟式時代には、それほどでもなかった元高校球児たちが、準硬式となって俄然やる気になり、チーム力が高まったのは、業界内のリーグ戦という側面もあったと思います。
三部から毎年、勝ち上がり、あっという間に一部リーグへと昇格しました。


さすがに、一部のチームは自前のグラウンドを持っているようなところばかりで、練習もそこそこやってるみたいです。
中でも毎年優勝を続けるY生命との間には、体格面を含め、どうしようもない実力差がありました。
そこで、監督である私は秘策を練りました。
我が軍のエースは、コントロールこそ良いものの、スピードがいまひとつ。打たれ出すと、止まらなくなる傾向にあったのです。準硬式は、痛烈な打球が飛びますからね。
なので、右打者に対する場合、二塁手をベース上で守らせ、内野手が引っ張りの打撃に備えて深めの守備を。レフトもフェンスの手前まで下げて、センターも深め。ライトは通常のセカンドゴロにもある程度対応できるように、定位置よりも前で守る。左打者であれば、その逆です。
トップレベルの選手は形ができてますからね。気持ちいいので強く打とうとするのです。スコアブックから、そのことがよく分かる。

 

しかしながら、この作戦は、うまくいきませんでした。
自軍の選手が、「カッコ悪いから、そんな守り方ができない」と言い出したのです。
当時の選手たちの多くは、甲子園に出るような名門校の出身(補欠が多かったけど)。それぞれにオーソドックスな野球観が刷り込まれており、将棋部出身の私に監督とは名ばかりで、説得力がありませんでした。
でも…
だからと言って、まともにぶつかったとしても、勝てるもんじゃない相手です。実力差があり過ぎる。
案の定、試合ではボコボコに打たれ、5回コールドで打ち負かされました。
試してみたかったなぁ。