かつて営業マンの花形は、自動車セールスでした。
高度成長の波に乗って、マイカーは不動産と並ぶ庶民の夢であり、ローラーと呼ばれる手法で一軒一軒を訪ねながら、顧客をゲットしていくのがトップセールスの腕の見せどころです。
ところが、トヨタ商事の事件あたりからでしょうか、行き過ぎた売り込みで飛び込みセールスが嫌われ始め、昼間は不在の家も多くなり、加えて個人情報保護の波が押し寄せたこともあって、そういう販売手法は死滅。優秀な自動車営業マンは、外資系の保険セールスへ流れていきました。
なるほど、一台数百万のクルマに比べ、月払いが前提の保険は価格的に勧めやすい。個人情報は、お客の方からボロボロ出てきますからね。雇われサラリーマンの自動車時代には、やっていなかった自腹からのプレゼント作戦は、個人事業主として継続手数料からキャッシュバックすれば、その後の人間関係構築のための投資として、むしろ安いものです。売りっ放しなんて、考えられません。
そして、ローラーは疲れるからやらない。もっぱら、家族内に入り込んでクチコミ情報を仕入れます。そこからの紹介セールス。この人、いい人だから助けてあげようと思わせる。どこかホストっぽい手法です。
こうして、早めに転進したセールスマンは、プルデンシャル生命やソニー生命で年収1億円の大金持ちになりました。
さっき、クルマより生命保険の方が安いみたいに書きましたが、保険の場合、払い続けるってとこがミソで、トップセールスの生活は、継続手数料によって支えられていくのです。前年の成績が持ち越されていくので、活動を止めない限り、収入が右肩上がりってことですね。こういうの、早く気がついた者勝ちです。
ただ今は、多くの保険会社が訪問販売の非効率と人件費の高騰に嫌気がさして、ショップ型の受け身営業に変わりつつあります。
ホストっぽいセールスの教育なんて、できませんからね。枕営業のススメみたいになっちゃう。結局、そのへんの才覚は、個人の体験とセンスに因るものでありました。教えるのムズカシイ。
そして、そこから先をまた、自動車業界に学びます。
人の集まりやすい場所に店舗を構え、清潔感にあふれた近代的なイメージを演出するのが大事だと。
接客の基本は、しつこくしないことです。
そのやり方だと、個人差が出ないので、教育する側がラクだからねぇ、本当は違うけど。
だから、ビックリするような売上げをマークする人は出てきません。すべては、仕組みによるものです。
ただし、土日が休めない業態は、若い女性に敬遠される。そこが難点なのであります。バーチャルってわけにはねぇ。
コケティッシュな女性は、何処へ行ってるんだろう?欅坂ですか??