国内外で集中豪雨や大型台風、爆弾低気圧などの異常気象による気象災害が頻発化しています。
気象庁の定義では、異常気象は30年に1回以下の出現確率の現象としており、一生の間でも数回しか経験しないはずのものだとされています。
しかしながら、異常気象の回数は目に見えて増えており「これまでに経験したことがない大雨だ」がしょっちゅう聞かれるようになりました。
原因は、地球温暖化だそうです。
二酸化炭素の排出により気温が上昇することで、海洋からの蒸発が活発化し、大気中の水蒸気が増加して雨の降り方に影響を及ぼすのです。
わかったようなわからないような…まぁ、因果関係があるってことです。
その昔、台風が恐ろしいのは風でした。
子供のころ、近所の家の屋根が飛ばされたのを覚えています。冗談みたいでした。困りますよ、飛ぶと。
木造の安普請だと、窓なんかもユルユルなので、外から木材を打ちつけるなんてことも普通です。
今は、そんなのは平気です。ブーフーウーみたいな話。近代建築は風に強い。
怖いのは雨です。雨そのものじゃなくて、地盤が緩むこと。それは、森林伐採による住宅地造成が関係しています。
『ハリケーン』(高嶋哲夫著・幻冬舎)は、台風接近に伴う人間ドラマが描かれています。
主人公は気象庁に勤める予報官。これに、認知症の母親を抱えて仕事を辞めた妻、非行グループに誘われて万引きをしてしまった息子、ギャンブル依存性の伯父にたかられている自衛官、ニュータウンの住宅販売に四苦八苦する営業マンなどが絡みます。
本作は、災害パニックを期待して読んだ人には肩透かしだったと思いますが、それこそが気象予報でありまして、最悪を想定したとしても、そうでもないところに問題が潜んでいたりするのであります。題名も含めての問題提起型小説。85点。