都会のネズミと田舎のネズミ

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年金受給の罠

50歳時点で未婚であれば、その後結婚する可能性は極めて低いというのは異論のないところでしょう。そうした統計上の事実に基づいて定められた指標が「生涯未婚率」でありました。

しかし、最近になってその名称が「50歳時未婚率」に変更されました。確かに、50歳以上で初婚の人がいないわけではありません。だけど、ほとんどいませんよ、そんな人。誰か声の大きな人がクレームを申し立てたんでしょうか?

人口問題研究所の2021年版データによれば、その未婚率は男性23.4%、女性14.1%だそうで、この数字はさらに上がっていくものと見込まれています。結婚するのが当たり前ではなくなりました。

この傾向を指して、最近の若者の草食化だと嘆く向きもあるものの、実はこの数字が反映されているのは1970年より前に生まれた人たちの話であって、非婚の傾向は、ずっと以前から続いているってことがわかります。

 

ところで、厚生労働省の「簡易生命表」によると、2020年の日本人の平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳ですが、この寿命の長さが、男女の違いだけではなく、独身なのか結婚しているのかという配偶関係の別によって大きく変わるのは、知られていないかもしれません。

 

【男女配偶関係別死亡中央値】(その年齢で50%が死亡しているのが中央値)

    未婚の場合 離別の場合 配偶者有の場合 死別の場合

男性   67、2歳      72、9歳           81、6歳      88、4歳

女性   81、6歳      80、9歳      78、6歳         91、0歳

                    (2020年実績値より)

 

男女ともに配偶者と死別した人の死亡中央値が最も高く、平均寿命を超える長寿です。おじいちゃんが死んで、おばあちゃんが死ぬ。その逆もあるでしょうけど、それが幸せなパターンです。喪中ハガキで多いのは、享年90歳超えだということ、実感としてあります。

一方で、男性では未婚者の死亡年齢がもっとも低く、67.2歳で未婚男性の半分が亡くなっていることが分かります。離別男性も平均寿命を大きく下回る72.9歳であり、未婚及び離別という独身男性は、短命であることがわかりました。

逆に、女性では有配偶女性の死亡中央値が78.6歳と一番低く、女性の平均寿命を大きく下回っています。むしろ、未婚で81.6歳、離別でも80.9歳と、女性の場合は独身の方が長生きでした。面白いですね。つまり「一人では生きていけない男・一人だと長生きする女」という構図なのです。

 

それにしても、未婚男性の半数が67歳で亡くなるというのは衝撃的でありました。同じ独り者の女性とは、14歳もの開きがあります。

男性の独り者の生活には、ダメが存在しません。何をするのも自由。だから、食生活が偏ります。生活習慣病入門コース。お酒も煙草もストップがかからない。さらに、決定的なのは、医者にかからないこと。志村けん享年70歳。ダメだこりゃ。

 

政府は年金受給の開始年齢を遅らせるよう提唱しておりますが、独身男性は、それに乗らない方がいいでしょう。

だけど、女性は考えてもいいかもしれません。違うかな?