都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

インビジブルレイン

私の祖父は新聞社勤務であり、父親は放送局でスポーツアナをやっていました。

日曜日が休みだということもなく、家に資料を持ち込んで目を通すのが当たり前。昼まで寝ている時もあり、家族と一緒に食事を摂ることも、ほとんどありませんでした。

だから、普通の職業観が育っておらず、組織から少し離れた一匹狼的な考えが知らず知らずのうちに芽生えてしまったようです。

縦割りの中で命令に従って動くというよりも、自分で考えて自由に動くのを良しとして、既存のルールが必ずしも正しくないのではと疑う。

こういう人は、サラリーマン社会に向いていません。

学卒で入社した保険会社は、毎年二桁の急成長の中で組織が追いつかず、ルールを守るというよりも作る側にいたので伸び伸びできていたものの、会社が大きくなって、そこそこ世間から認められ出すと、規律が重んじられるようになり、居場所を失いました。

本当は、やりたかったことがたくさんあったのですが「理想を掲げて実現が難しい提案を打ち上げると、上からのプレッシャーがかかり、部下の負担が大きすぎる」と必死で懐柔を図る上司とぶつかって、辞めることになります。

このあたりの話は、結構ドラマチックなので、別の機会に書こうと思います。

 

これ違うよなぁと思ったら止められない私は、フィクションの世界にそういう人を求めてしまいます。

上司の指示通りに動こうとしない警察官は、ヒーローそのもの。何と言っても警察組織ですから。

縦割りの権化である警察の中で、正義を貫こうとする姿に毎回、心がひりひりします。

今回のご紹介は、その中の一つ『インビジブルレイン』(誉田哲也著・光文社文庫)です。

主人公は、長身でクールビューティーの姫川玲子主任。仲間からは「姫」と呼ばれています。

男社会の中で、気丈にSのように振る舞っているけど、実はMっ気が強い性格は、経営者に多く見られるパターンであり、また美人さんにもこの手が多い。群がってくる男たちを排除する手段として有効であるからで、ヤクザはその心理を熟知しており、褒め上げつつも罵倒する二面性を打ち出しながら、メロメロにさせていくのが常套手段です。

ストーリーの中では、このことがテーマであるかのように、見事に気持ちの彩(あや)を切なく描き切っておりました。

最終盤がちょっとバタバタしたように思うけど、87点。人物のキャラが際立っているので、シリーズ全体をオススメです。