犯罪白書によれば、一年間に起こる殺人事件(未遂を含む)は900件前後だそうです。
全国の警察署の数は1,162ですから、そんなに頻繁にあるわけじゃないことが分かります。
ドラマを観ていると、年がら年中って思えるけど、現実はちょっと違うのかも。
そして、殺人事件の検挙率は98%前後と非常に高く、未解決で翌年に持ち越されるような事件が年に20件ぐらいとのこと。日本の警察は優秀だと言われる所以です。
その一方で、一年間に行方不明となってしまう人が、分かっているだけでも1,000人以上いるとされており、これをまともに捜査すると、たちまち手が回らなくなるのも分かります。ここに、奥深い闇があり、ミステリー小説の題材にもされるわけです。
検挙率を高めるためには、分母を大きくしないことが重要なので、見て見ぬふりも実際にはあるんでしょうね。
『ノーマンズランド』(誉田哲也著・光文社文庫)は、姫川玲子という女性警部補が活躍するシリーズで、正義とは何かを考えさせる快作です。
縦社会、男社会の権化である警察組織で、パワハラやセクハラの境界を出たり入ったりのやり取りが生々しく描かれています。
この作者は、人物描写が上手い。登場人物の個性をそれぞれ魅力的に打ち出しているので、テンポよくグイグイと引き込まれていきました。
85点をあげましょう。