都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

先生、どうかみんなの前でほめないで下さい①

前職で、入社試験の問題を作っていました。

学校と違って学力を重視するわけではないので、何だっていいわけで、ある程度の常識を見極めるためのそれですが、若い人たちが違う生き物なんだなぁと痛感したことがあります。

それは、答えに自信が持てないものは、何かを書いて埋めておくようなことはせず、空欄のままにしておく子が多いってことです。

私が大学生の頃は、特に記述式問題なんかでは、何でもいいからダラダラかきまくるのが常識でした。

選択問題だってそう。分からなくても、とにかく埋めておくのがテスト戦術です。

だけど、今の若い子は違います。選択問題はともかくも、当てずっぽうで根拠なく適当な答えを書くぐらいなら、何も書かない方がいいと考えている節がある。

例えば漢字の読みの問題で、「大人気ない」ってのがあったとして、正解が分からずとも「だいにんきない」と答えるのが普通だと思うんだけど、そんな日本語はありません。だから、何も書かない。恥をかくのがイヤだからです。

そう言えば、面接のやり取りで、こちらの問いかけに無回答を貫く子も少なくありませんでした。

当時は、それを能力不足と片付けておりましたが、そんな単純な話ではなかったようです。

 

『先生、どうかみんなの前でほめないで下さい』(金間大介著・東洋経済)は、いい子症候群の若者を分析した好著です。

てか、この本、スゴい面白い。

筆者は、応用物理学の研究者であり、大学でも教鞭に立っておりますが、むしろ社会心理学に造詣が深く、若者文化に精通した第一人者です。

大学生の生態を熟知している。

で、これによると、今どきの子は「自分の意見を言わない」「自己肯定感が低い」「評価されるのが怖い」んだそうです。

そして、間違った答えをするのが異常なほどに恥ずかしい。失敗するのがイヤでイヤでしょうがないんだと。

最近のテレビで『呼び出し先生タナカ』という『めちゃイケ』の二番煎じみたいなのが始まりましたが、ああやって誤回答をさらけ出すというのは、芸能人だからこその露悪趣味。正しい若者は、分からなかったら何も答えないんです。テレビ出られないけど。

他にもまだいろいろあるので、もう少し掘り下げていきましょう。

(つづく)