知床の遊覧船事故は、業者の安全意識の低さに呆れるばかりですが、監督官庁の緩さについて、もっと糾弾されるべきだと思います。
お客さんは、ディズニーランドの海賊船に乗るのと感覚的には同じです。これがバンジージャンプだったら覚悟が違うでしょうが、船が沈むだなんて、思いませんからね。
水温2度の海を運航する客船に備えてあるのが救命胴衣だけってのは、あまりにも酷い。何もないのと一緒でした。
こういうのは認可事業だから、責任は国交省の方が重いと考えています。何のために検査しているかがわかっていないってこと。想像力も足りません。
ちなみに海上保安庁のデータによれば、令和二年度の船舶事故による死亡者数は99人で、大半は個人保有のプレジャーボートによるもの。そのあたり、油断があったのかも。
『炎の塔』(五十嵐貴久著・祥伝社文庫)は、映画『タワーリングインフェルノ』にインスパイアされた超高層ビルで起こる火災とそれに対応する消防士の活躍を描いたものでした。
こうした高層建築物については、いろんな規制があって、安全面に細心の注意が払われているものの、見えない部分が沢山あるのは否めません。
いくら計算し尽くされていると言われても、人の作ったものなんて、全面的には信用できないものであると改めて思わされました。
作品はスピード感に溢れ、迫力満点でした。一気読みです。92点。