昨年に続き、私が今年読んだ本のベスト10を発表します。あくまで、私が今年読んだものからってことで、お許しください。
まずは、小説部門から。
1位 正体(染井為人)
2位 看守の信念(城山真一)
3位 希望の糸(東野圭吾)
4位 野良犬の値段(百田尚樹)
5位 出版禁止(長江俊和)
6位 天上の葦(太田愛)
7位 炎の塔(五十嵐貴久)
8位 わたしが消える(佐野広実)
10位 背中の蜘蛛(誉田哲也)
作者が重複した作品は、その代表作一つに絞りました。
そんな中、堂々の一位となったのは、染井為人の『正体』です。冤罪をテーマとした作品ですが、人物描写が素晴らしい。いろんな職業や立場の人を本当にいるかのように生き生きと描く術をどこで学んだのか?まだ39歳だそうで、今後の活躍が楽しみです。
2位の『看守の信念』は、刑務所ミステリーという異色のドラマです。『看守の流儀』からの連作で、順番に読んでいった方が、なお面白い。城山真一も注目の作家です。50歳。
3位は、久々に東野圭吾が入りました。これが面白いのは、小説の発表前に予告編ムービーが作られていたこと。映画やドラマ化はまだです。いや、時間の問題で、それも大ヒット間違いなしです。
4位の『野良犬の値段』。本当は、思想的に百田尚樹が好きじゃないんですが、小説家としての才能は認めざるを得ません。本作は、痛烈なメディア批判ですが、それがピッタリハマったようです。
5位の『出版禁止』はフェイクルポルタージュという手法が斬新で、呆気に取られました。好みの分かれるところだと思うけど、私はこういうの、好きです。
6位の『天上の葦』は太田愛の長編です。脚本家だからってのもあるんでしょうが、人物描写がウマい。会話が洒落ています。
7位の『炎の塔』は、まるでタワーリングインフェルノです。火災が主役なのでスピード勝負となりますが、そういうのが得意なんでしょう。情景描写の巧みさといい、映画を観ているようでありました。
8位の『わたしが消える』は、江戸川乱歩賞受賞作品。売れるまで時間がかかった作家ですが、文章のうまさは超一流だと思います。
9位は、今野敏の作品からチョイス。今年もたくさん読ませてもらったけど、ハズレが全くありませんでした。なんでしょうね、会話劇の表現の巧さ。ボケとツッコミの人物対比で、説明を感じさせないところに匠の技を感じます。
10位の誉田哲也も、今年ハマった作家の一人です。文章が少しゴツゴツしているので、一気読みができませんが、ストーリーの組み立てがウマいので、読後にニヤリとさせられます。暴力シーンがエグいのをなんとかして欲しいんだけど、それが売りなのかなぁ。
今年は、年間で200冊ぐらい読んだように思います。
基本的に、書評で星四つ以上だとか、誰かが薦めている本を選んでいるので、時間の無駄だと感じるようなのは少なかったです。
上位の三冊(四冊)は、特にオススメです。是非、お求めください。