これも梶原一騎の原作でした。
当時、少年マガジンは『あしたのジョー』と『巨人の星』とが二枚看板で、そのいずれもが梶原一騎の原作であり、講談社にとって下にも置かない扱いだったのです。そこには、内田勝という天才編集者の存在が見逃せません。漫画家は、作画に集中できたのです。プロモーションについては、出版とテレビのコラボレーションを確立させ、一気にブームの火付け役となりました。
今でこそ、ダルビッシュ・大谷翔平・佐々木朗希と剛球投手の条件として高身長が当たり前ですが、ひと昔前のスポーツ漫画の主人公たちは、みんな小柄でした。それは、少年漫画だからこそのシチュエーションで、柔よく剛を制すみたいなドラマが期待されていたからです。イジメに屈するなというような教育的な主張が込められておりました。
それにしても小柄な星飛雄馬は、小さいころに大リーグボール養成ギブスなんて装着されたもんだから、成長が止まりますよね。それゆえ、球は速いけど球質が軽いので長打を喰らいやすいという欠点が付きまといます。なんか理論的なような。
その理屈っぽさは、新魔球の開発にも繋がっていきます。謎解きの要素が加わっていく。
下敷きになったのは、『黒い秘密兵器』(一峰大二)の秘球の数々です。
本当は、投手と打者の関係はゼロ⇄ヒャクでなく、打ったり打たれなかったりなんだけど、それじゃ漫画にならない。そこで、絶対に打たれることがない変化球が登場するわけです。エポックの野球盤に消える魔球が出現するような話。
以後、野球漫画において、新しい変化球の開発が争われるようになりました。
川崎のぼるという作家は『いなかっぺ大将』もそうだけど、劇画タッチとギャグ漫画仕上げを混在させる不思議な作風でした。
坂本龍馬が靴を履いているような感じ。
力感をやたらと強調するので、なかやまきんに君みたいに仕上がるのは上手いんだか下手なんだか、遠近感が独特だったと記憶しています。
土曜日の夜7時の放送には釘付けになりました。オロナミンCは、さぞかし売れたことでありましょう。
(つづく)