都会のネズミと田舎のネズミ

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藤井聡太はどこまで強くなるのか

名人戦第五局で藤井六冠が勝利し、前人未踏の全タイトル八冠制覇に王手をかけました。

将棋のタイトル戦は、一発勝負でなく番勝負と言われる闘いなので、実力通りに決着することが多く、番狂わせが起こりにくいんです。二日制でそれぞれの持ち時間が長くなるほど、その差がハッキリ出る。

現状の将棋界では、藤井聡太が圧倒的な強さであり、なんとかいい勝負に持ち込めることができるのは渡辺明名人だけだと見られていたので、これをあっさり4ー1で退けた今、八つめのタイトル(王座)獲得も時間の問題と言えるでしょう。

普通の常識では、強いと言っても勝率7割程度であって、相性とかコンディションとかが微妙に影響するもんだけど、それ以上に力の差があるようで、ほとんどスキがない機械のような正確さを見せています。一日に10時間以上、盤に向かって考え続けるというのは、想像以上に体力がいるもんですが、20歳の若さですからね。ここから数年は、無敵でい続けると思います。

 

藤井聡太はどこまで強くなるのか』(谷川浩司著・講談社α新書)は今期の名人戦を前にした予言の書であります。

これが書かれた昨年末は、まだ挑戦者にもなっていなかったのですが、現場では既成事実だったのでありましょう。強過ぎるってことを誰もが身に沁みて感じていたから。

著者である谷川浩司十七世名人(61歳)は、20代のころ、光速の寄せで無敵を誇り、羽生善治と死闘を演じるなど一世を風靡したものですが、年齢とともに、少しずつ衰えていって、今では平均的な成績の棋士となってしまいました。だからこそ、見える世界があるんでしょうね。若くて勢いのあるときの強さが。

その秘密を藤井聡太七冠がノーベル賞山中伸弥博士との対談で語ったことをピックアップしています。

「将棋では、これまでずっと強くなるための方法論は出てこなかった」と。例えば、形勢判断にはこれまで「感覚」が重視されてきたが、感覚は人によって異なる。AIによる形勢判断の数値化は、その理由を考えることで棋力向上に繋げることができるという意味で、強くなるための方法の一つになりうる。だからこそ、このAIの考え方に自分を近づけていく。

つまり、将棋を覚えたてのころから、AIを認めて馴染んでいたことが、彼の強さの秘密であると看破しておりました。なるほどねぇ。

 

私のように、実戦から遠ざかって見るだけでのファンを「見る将」と言うんだそうですが、ネットと将棋は相性が良く、またプロの解説にAIの判断が加わることで、余計に面白さが加わったように思います。

だけど、いつまでも独り勝ちが続くっていうのもねぇ。

しばらくは、この無敵の巨人を誰が倒すのか?注目です。