都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

軍曹

将棋界の頂点に立つ藤井聡太八冠は、ことごとく挑戦者たちを退け、タイトル戦20連覇を達成しています。

その内容も、相手を圧倒しているケースがほとんどで、読み比べとなると、明らかな手合いの差があるように思います。そうでなければ、これほど一方的になりません。棋士によっては、戦う前に諦めているようなこともあるのではないか?

そんな中で、唯一の死角があるとすれば早指しの棋戦です。持時間に余裕がなければ、つまり感覚勝負に持ち込めば、いけるかもしれないと。

そこで、持時間40分の朝日杯将棋トーナメントで決勝の相手となった永瀬拓矢九段は、73手目までノータイムで指し続け、藤井聡太八冠が1分将棋に追い込まれたのに対して38分を残すという優位を築いたのです。全く時間を使わなかったのは、事前の研究通りに進んだからで、その用意周到こそが永瀬拓矢の真骨頂でありました。

その後は、じわじわとねじり合いが続きますが、驚いたのはリレー形式で行われた解説に佳境を迎えたところで参加した羽生善治永世名人佐藤康光永世棋聖の予想手が、ことごとく外れていったこと。通常の早指し棋戦では、100%とは言わないまでも7〜8割程度には読み筋が一致するものなんです。それが全く違う方向に進みながら、対局者がシンクロして二人の世界を築いている感じに感動を覚えました。

いやぁ、永瀬拓矢九段は強いと改めて思い知らされた次第です。

 

業界では、将棋に対するストイックさから「軍曹」の異名を与えられておりますが、一昨年末のマスク事件(2022/10/30ブログ『悪法も法なり?』参照)のように中途半端な妥協を許さない姿勢は、先輩棋士にアンチも多いような気がします。

将棋を究めるため学生生活は無駄だと考え、高校を一週間で中退したあたりほーんと普通じゃないんだけど、普通じゃないからこそ藤井聡太に対抗できる、そう思ったりもしています。