都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

ミステリと言う勿れ

関西人は、転勤で江戸からやって来た人間が、無理して使う大阪弁もどきを嫌います。

それが正しい使い方じゃないからで、満を持してからじゃないと、迂闊に手を出してはいけないジャンルです。

それ以外の地方の人は、そうでもない。多少なりとも方言コンプレックスがあって、共通語の都会人の前では声を張りません。注意深く喋るから、そのへんの心理がなんとなく伝わってきます。人によるってのもあるけど、あんまりイジられたくないのかも?

 

朝ドラなんかで地方を舞台にしたドラマをやるときに、方言指導の人が付いたりしますが、ここに役者の実力が表れます。耳の実力。音感ってこと。英語の発音と同じで、言葉の表現力こそが、演技力でもあるのです。宮本信子とか高畑淳子とか憑依型の女優は、セリフを暗記するのに留まらず、本物に近づける努力を続けます。おそらくは、耳がいいんでしょうね。きっと、歌も上手いと思います。

反対に、音感に劣る役者は、使い慣れない方言でボロボロになる。声を張らなきゃいいのに、自分が下手だとの自覚がないから、珍妙を垂れ流します。下手だと気が付けば、上達への道が開けるんだけど、得てして才能のない俳優は、その前で止まっている。いや、演技に限らず、なんだってそういうことだと思います。

 

今月の映画は、まず『ミステリと言う勿れ』を観てきました。

ドラマ先行のこのシリーズは、主人公である菅田将暉の台詞回しが魅力でして、映画でもそのキャラクターが際立っています。

テレビと大きく違うのが、豪華俳優陣で、永山瑛太松坂慶子鈴木保奈美をチョイ役で起用する贅沢さ。それに比べて、ヒロイン役(原菜乃華というらしい)に華がなく、演技力も足りないのが残念でした。それと、声を張りながら使う広島弁。ああいうのは、心を許した友人同士、あるいはヤクザ者しか使わないって思わないのかなぁ。

最終盤に松嶋菜々子が通販番組のような扱いで登場したのも、不思議ではありました。仕事、選ばないんだ。

とは言え、原作がしっかりしているのと、菅田将暉の存在感で楽しめたのもまた、事実です。時間のある方は、どうぞ。