登場人物が多いドラマや小説は、見続けていくのに結構苦労します。エネルギーがいる。
『古畑任三郎』がヒットしたのは、そこのところをバッサリ削って、話を分かりやすくしたところにあります。
ドラマの場合、人件費削減の効果もあるけど、何より観客に落ちこぼれを作らないってのが良い。逆に、登場人物を多くすると、途中で諦める人が出てきます。小説は、脳内イメージでキャラクターを作り上げていくので、余計にそうかもしれません。
学校モノは、教室が舞台となるとき、生徒がたくさんいるので大変です。
宮部みゆきの『ソロモンの偽証』という名作がありましたが、あれはトータルで2,000ページ近いボリュームがあったので、上手いこと描き分けていました。
普通のサイズ、400ページ程度だと、なかなか。作家の力量が問われるところです。
『高校入試』(湊かなえ著・角川文庫)は、最初にテレビドラマの脚本ありきの珍しい作品でありました。
小説は、ドラマ化された後のもの。
ほとんど100%が合格する公立高校の入学試験であるからこそ、いろんな問題が内在されています。
全てがマークシート方式であれば簡単なんだけど、記述式が混ざっていると、客観性をもって採点するのが難しい。
カンニングもねぇ。携帯電話を使ってYahoo知恵袋から正解を引き出すなんてのもあるらしく、だからこその携帯持ち込み禁止もどこまで徹底できることやら。いやぁ、面倒臭いのであります。
だけど、この作品における教師のスタンスには、全く共感できませんでした。小説からドラマ化はあるけど、その逆はダメだな。ウルトラマンの小説なんて、読む気がしませんからねぇ。
【テーマ】タイトル・時代性・学習性 14点
【文章技巧】読みやすさ・バランス 16点
【人物描写】キャラクター・心理描写・思い入れ 14点
【構成】つかみ・意外性・スピード感 14点
【読後感】共感性・爽快感・リアリティ・オススメ度 12点
【合計】70点