中学で古文を教わったナカイ先生は、我々に徹底して暗唱を課していました。
そのせいで、未だにいろんな文章がスラスラ出てきます。
「仁和寺にある法師、年寄るまで岩清水を拝まざりければ、心うく覚えて…」(徒然草)
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず…」(方丈記)
当時は苦痛だったけど、今思えば、いろんな抵抗感を取っ払う効果的学習法であったように思います。
生徒にとってのリズムネタでありました。昔の名文は、語感が素晴らしい。そして、語彙力を鍛えるのに、丸暗記が役立つってこと。
それは、英語の上達法として、ビートルズを唄うのと似ています。
『語彙力は教養である』(齋藤孝著・角川新書)は、理論武装したい人にオススメの好著です。
人と話していて、その人の教養レベルを測る材料として、会話で使われている言葉が重要だという話、よ〜く分かります。
日本語の90%を理解するには、一万語の語彙力が必要で、広辞苑に収録されている言葉は24万語だから、それはもう人によって、すごい差があるのが容易に理解できます。だからこそ、見透かされないように磨く必要があるのだと。
そのために、本を読むのが一番の方法だけど、たくさんの歌詞に触れるってのも悪くありません。
そして、たくさんの言葉を持っている年輩者と常に接していれば、普段からトレーニングを積んでいるようなもので、これも効果的。
なるほど、やり方はいろいろです。
杉村太蔵とか長嶋一茂とか、見るたびに言葉が磨かれているタレントを見るにつけ、環境も大きな因子だなぁと思います。
いやいや、勉強になりました。少しのことにも先達はあらまほしきことなりなのであります。