そこらじゅうにある飲食店で、不味いお店なんてのは、ほとんどありません。
みんなが出店するのは、そこそこ自信があるからですし、それを自惚れだとも言えない。褒めてくれる誰かも少なからずいたであろうから。
じゃあ、どうして潰れるかと言うと、そこにプラスする何かが欠けているからです。
何かの種類はいっぱいあって、逆に言えば、味以外の何かをたくさん見つけた人が生き残っていくのです。
歌手もそう。いくら歌が上手くても、それだけでは武器にならない。いろんな要素が組み合わさって、パンパンに膨れ上がった人だけが成功者となります。90点以上の実力さえあれば、そこから上の1点2点はどうだっていい。そこから先は、別の要素を補強するんだと気付いた人が、スターになるんです。プロダクションが、そういうのをカバーしていきます。
そのへんが、結果至上主義のスポーツの世界と違う。デジタルの考え方じゃダメなんです。
お笑いの世界もまたしかりで、面白いから売れるってわけじゃない。
師匠(?)である萩本欽一さんは、本人の性格が大事だと言ってましたが、周囲のみんなに好かれるようじゃないと、引っ張り上げてもらえないってことらしいです。コンテストで優勝しても今イチ売れないのは、関係者に好かれていないから。う〜ん、それはサラリーマンでも同じかもしれませんね。
お笑いの世界でも実力がありながら、不遇な期間に耐えられず、道半ばで辞めていった天才が何人もいます。
その代表格が元ラーメンズの小林賢太郎で、東京五輪の演出責任者を任されながら、20年以上前に演じたコントの内容が不適切だとの理由でおろされた過去を持っています。演者としてよりも作家としての才能が豊かで、井上ひさしっぽい言葉を反芻(はんすう)させる世界観の作り方が、評価を得ていたように思うんですけど、見えない何かに潰されたって感じは、巡り合わせの悪さ、不運であると思います。
Amazonで『こばなしけんたろう』(幻冬舎文庫)を見つけたので早速購入しました。
この中で、気に入ったのがこれ。
「銭湯の利用率はかつて数10%でしたが、今ではスーパー銭湯だそうです」