これは、Amazonをモデルにしたサバンナという通販大手会社を巡り、デフレ経済へ進みながら、多くの国民が下級国民(アンダークラス)へ引きずり込まれていく中で、技能実習生の問題点を浮かび上がらせた話題作です。
ミステリーの形を取りながら、経済や社会を学べる教育的な側面を持っているのが相場作品の特徴です。
・企業は利益を生む人間しか正社員として採用しない。その他の頭を使わない業務は非正規労働者で十分なんだ。
・インバウンド景気の本質は、日本の物価が主要国に比べ極端に安くなっていることだ。
・例えばこの15年間で、日本のGDPは5%しか成長していないが、成長著しいアジア諸国は2倍近く伸びている。
・2025年には、国民の三人に一人が65歳以上になる。低賃金の単純労働力不足は深刻で外国人に頼らざるを得ない。
・サバンナの究極の目標は、地球上からリアル店舗を一つ残らず消すことだ。
・米国では、大手書店や百貨店、ホームセンターなど、サバンナに顧客を奪われた企業は数知れない。
・日本はとっくに日が沈んだ国、貧乏人ばかりの国だよ。
・これからは、日本人が景気の良いアジアに出て、仕送りする日が来るね。
・外資系の責任者にはAIP(アクト・インプルーブメント・プログラム)というのがあって高い目標が課せられ、出来なければクビになる。
・サバンナでは、年会費を払い、年間20万円以上買う顧客をおおよそ年収1000万位上と判断し、特別扱いしている。
ビジネス書ばりに情報が詰まっていて、トクした気分になれます。
ストーリー的には、いくら日本語が達者だとはいえ、容疑者となるベトナム人へ向けた言葉のレベル(使用語彙)が高すぎて、リアリティが今ひとつでありました。
80点ってとこかな?