オリンピックの東京招致は、コペンハーゲンで開かれた2009年のIOC総会に始まります。
当時、東京都知事は石原慎太郎氏でした。森喜朗氏は、日本体育協会の会長として参戦したものの、2016年の夏季五輪はリオデジャネイロに決まります。開催候補地をめぐる国同士の争いは激烈で、水面下における票の奪い合い。まさに、政治力が試されるところです。
森氏は、これを面白いと思いました。2013年に向けて、捲土重来を誓います。
ところが、2011年になって、石原氏が四選目の都知事選に出ないと言い出しました。このとき、出馬表明していたのが五輪招致否定派の東国原英夫氏です。自民党としては、彼に勝てる候補を立てなければならない。このときの党幹事長(人選の調整役)が石原伸晃氏だったため、交換条件として再登板を決意させました。キングメーカーの面目躍如。その後、行われた総裁選で、自派(清和会)から町村信孝氏や安倍晋三氏が名乗り出たにも関わらず、森氏は石原伸晃氏を支持しています。つまり、五輪招致のために、約束を守ったということ。石原都知事でなければ、2013年の立候補は実現しなかったのです。
しかしながら、石原氏は2012年10月、任期途中で都知事を辞め、後任に副知事の猪瀬直樹氏が就任します。
本当のところ「尖閣を東京都が買う」なんて言ってたし、嫌韓思想も露骨だったので、アジア各国からの評判が悪く、IOCでの票集めには不向きだったため、絶妙なバトンタッチとなりました。
2013年、ブエノスアイレスのIOC総会では、森喜朗氏が得意の外交力で暗躍し、委員の票をかき集めました。ロシアのプーチンと太い絆で結ばれていたのも大きかったようです。その結果、悲願の東京開催が決まりました。
その後、猪瀬都知事が自分の手柄だとばかりに組織を牛耳ろうとします。
五輪の主催者は東京都なので、ある意味、当然とも取れる行動でしたが、森氏からすれば、いいとこ取りが気に入らない。
しばらくして、猪瀬氏はカバンに入れた五千万円を受け取った問題で、知事を辞任しました。
この話がどこから出てきたかは、謎です。
(つづく)