小学校一年生の一学期を広島で過ごした私は、二学期が東京都大田区、三学期を東京都三鷹市の学校に通いました。つまり、小一のとき、三つの小学校で勉強したのです。父親の仕事の都合と母親の実家での同居の話が重なって、そんなことになりました。
これについては、いろんな考え方があると思いますが、私にとってはとても刺激的で、その大事な時期に3種類の教科書を手に入れたのです。
覚えてないかもしれないけど、教科書には基本的な教えが詰まっているので、これがとても脳を活性化させたようです。それぞれを生真面目に読み込んだことで、予習と復習両方の相乗効果があったのでしょう。こうなると、理解力が倍増です。メチャクチャ勉強ができる優等生でありました。頭がいいとか悪いじゃなくて、経験値が違う頭脳の持ち主。
小四のとき、計算力が突出していた私は、処理スピードも早く、うるさくて手に負えなかったのでしょう。担任から算数の授業の一コマをやるように言われました。同級生を相手に授業する私。与えられたテーマは、垂直と平行についてです。
私がクラスメイトに提示した命題は、「電車の線路は平行かどうか?」。ちょっと前に雑誌で仕入れた知識をもとに、話を広げます。
平行の定義は、「同一平面上にあって、どこまでいっても交わることのない二つの直線」なので、直線とは限らないレールが平行でないのは明らかですが、これにいつまでも納得できない級友が何人かおりました。
私は彼らを説得できるだけの言葉を持っておらず、モヤモヤしたまま授業を終えたのを今でも忘れません。
小四のこの時期、直感的思考から論理的思考に切り替わるころで、ことばの定義ってのが、まさに論理的思考を支えるものなんだけど、これを分かるように落とし込むのはなかなか。いい経験をさせてもらいました。
これは、自慢するつもりじゃありません。頭がいいとか悪いとかっていう話は、実は使い方を知っているかどうかであって、部品の性能の違いじゃないってことなんです。何よりの証拠、神童だったハズの私は、どんどん普通になり、高校時代はクラスでビリを争っていました。
だから、そんなことも含め、知識とは何か、脳の使い方、目標の立て方などを教えてくれる人がいると有難い。
『ドラゴン桜』(三田紀房著)は、そういう話です。覚えていくのは個々の努力によるもの。そこに至る道筋をつけていくのが教師の大事な仕事なのであります。
漫画はもちろん、阿部寛主演のドラマも役者が揃っていて最高でした。教育に携わる人は、みんな観た方が良い。
このシリーズ、4月から『ドラゴン桜2』が始まります。今から楽しみです。