探偵と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか?
最初の出会いは『鉄人28号』の少年探偵・金田正太郎です。子供ながら、自動車を運転し、拳銃をバンバン撃ちまくっていました。
今だったら、制作サイドNGでしょうね。いや、視聴者からもクレームがつきそうです。リアルを求めるから。
だけど、どうなんでしょうね? 漫画は何でもアリだと思うんだけど。
次に現れたのは明智小五郎。怪人二十面相に対峙する江戸川乱歩シリーズです。そういえば、ここにも登場しました少年探偵団。戦争が終わった新しい時代は、若い子供たちに担って欲しいというメッセージも込められていたような気がします。
そして、金田一耕助。警察が頼りにならないので、探偵に力を借りています。公立探偵ですね。私立の域を超えている。
ひと昔前は、警察よりも民間の方が優れているとの判断があったかもしれません。
舞台がテレビに移るとまず、『傷だらけの天使』です。ショーケンと水谷豊、完全にチンピラの成れの果てでした。そんな仕事だって印象が強く残っています。堅気の仕事ではないんだと。
続いては、松田優作の『探偵物語』。貧しいけど、ダンディーのイメージです。愛車のスクーターでさえ、カッコ良かった。
最近では、『探偵はBARにいる』でしょうか? 大泉洋の探偵は、カッコ悪い松田優作でありました。
共通しているのは、ヒマで貧乏だってこと。そりゃ、そうです。刑事事件はお金になりませんからね。
私と探偵の繋がりは、二度あります。
一度目は就職のとき。内定前に保険会社から依頼を受けた調査員が、近所で聞き込みを行なったようです。これは、おしゃべりなオバちゃんから母が聞かされてきました。そういう時って、何を確認しているんですかね。幼少の頃から、周囲への挨拶を徹底するように教育されていたので、良かったです。とは言え、ご近所トラブルなんか抱えていると、マイナスのエネルギーが働くのかもしれません。危ない、危ない。
二回目は保険請求のトラブルで、代理人として素性を明かさずに突如現れたおっかない人。
このときは、電話口であまりに脅されたので、総務部の警察OBを伴って、面談折衝のため現地へ赴いたところ、OB氏は一発で見極めました。
「あれは、同業だ」と。
凄いですよ、警察関係者。目を見れば、すぐに分かるんだそうで、そうなると蛇に睨まれたカエルです。スゴむことでプレッシャーをかけようとの目論見は萎み、問題は一気に解決しました。後で調べると、その男は元警察のマル暴担当の私立探偵でした。多いんだそうです、警察上がりの私立探偵。なるほどねぇ。
『昨日がなければ明日もない』(宮部みゆき著・文春文庫)は、私立探偵・杉村三郎のシリーズものです。
普通に暮らしていれば、探偵なんて関係ないと思っておりましたが、結婚の際の身辺調査と配偶者の浮気調査はそれなりにあるもので、依頼時のハードルを低くさえすれば、結構成立する仕事のようです。基本、金持ちが依頼主であることが多いので、人脈と信用が生命。そこのところ、杉村探偵は持ってます。
ミステリーとしては警察小説に比べると、まどろっこしいことが多くなる。手帳と拳銃がありませんからね。どうしてもテンポが。78点でした。