ミステリー小説の登竜門といえば、何と言っても江戸川乱歩賞です。
歴代の受賞者には、なるほどと頷かせる錚々たる作家が並んでおりました。
これは、お笑い芸人なんかもそうだけど、定年がない業界では上が詰まっているせいか、若手が育ちません。
医者もそうだし、政治家もそう。
相撲なんか、北の富士が解説を辞めないから、いつまでも変わり映えがしない。
小説業界も、なんだか停滞しておりまして、ハッとするような新鋭作家が育っていないのが現状です。
『襲名犯』(竹吉優輔著・講談社)は、第59回江戸川乱歩賞受賞作品ですが、最後まで読み切るのに苦労しました。
その理由は、登場人物に魅力がないから。
思い入れを持って、読み込んでいけないのが理由だと考えられます。
ストーリーに技巧があるのは分かるんだけど、キャラが弱いとでもいうんでしょうか、冷めながら読んでいる自分に気づいてしまいます。
そうかそうか、文章が上手いかどうかもあるけど、登場人物を応援するような気持ちが湧かないと、興奮しないものだというのが分かりました。
それ、結構致命的。70点です。