都会のネズミと田舎のネズミ

読書ネタ、スポーツネタ、お笑いネタ、時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。ハズレよりもアタリを読んでください。

オフマイク

テレビ局というのは総務省管轄の許認可事業で、いろんな制約を受けています。

数年前、古舘伊知郎が『報道ステーション』を辞めるにあたり「窮屈になった」と言葉を搾り出しておりましたが、政治的圧力があったことを匂わせるようなシーンだったのは忘れられません。

コロナに関する諸々が、一つの方向からしか報道されなかったのもその典型で、感染を悪とするワクチンを中心としたストーリーが出来上がっていました。

これに逆らうことは、許されない。局アナで抗おうとする者は一発で干されるし、タレントも同様です。

コンプライアンスという錦の御旗をチラつかせながら、ネット民も味方につけて、政府方針と違う話をする学者たちは、次々に議論から遠ざけられていきました。

この話は、母親が「ハンカチ持った?」とか「宿題やった?」と同じで、安全な側から多めに言った方が間違いがなく、「だから言ったでしょう?」が通用するわけで、これを論破するには多大なエネルギーが必要です。

 

そんな空気に反発したのが、松本人志先生の自爆テロでした。

自らが濃厚接触者だと宣言し、お国の方針に従うとして引き篭もる。なるほど、大喜利で鍛え上げた表現力は伊達じゃありません。

この新しいストライキは膠着した局面を打開し、一気に世論を変えようとしています。

それにしても、同調圧力に屈することのない気概を見せたのが、ビートたけしブラマヨなど、お笑い芸人ばかりというのも情けない話です。

多くのタレントが顔色伺い上手になって、自分の意見を持たないままフワフワとポジションを担っています。それが、コンプライアンス社会での生きる道であるかのように。だけど、そんな人にはコメンテーターを名乗ってほしくない。自分で考えた意見を言うべきだと思います。

 

さて、本日のオススメ本は、『オフマイク』(今野敏著・集英社)です。

20年前に起きた解決済みの事件を掘り返し、報道番組制作者と警察とがタッグを組んで、官邸に通じた巨悪を追う。

番組打ち切りのプレッシャーは、現実世界を思わせるものであり、まるでテレビドラマを観ているようにテンポ良く進むストーリー展開が、流石の今野ワールドでありました。

ドラマっぽいからなのか、終盤での辻褄合わせが雑な感じもしましたが、今のところは今季ナンバーワンの当たりです。89点。