お笑い芸人が行き詰まると、コンビ解散して別の仲間を探すか、裏方に回って作家になるというのがパターンです。
二十代の貴重な時間にメルヘンの世界に身を投じていると、今さら堅気の仕事に馴染みません。
だから、しがみつくようになる。
島田紳助は、そんな中で全く売れないまま消えて行く人間に引導を渡そうと、年数制限のあるM1グランプリを始めたそうです。
なるほど。司法試験は5浪までだし、将棋のプロは26歳までと諦めさせるため、年限を切っていますからね。お笑いの場合、遅いぐらいです。
最近、松本人志がCMに出まくっていますが、もしかしたら売れなかった芸人のための施設を本気で作ろうとしているのかもしれません。
そんな中で、放送作家に転向して活躍しているのがバナナマンや東京03の舞台を演出するオークラです。
コントだけでなく、ドラゴン桜2の脚本を手がけるなど、芸域を広げています。
昨年末に出版した『自意識とコメディの日々』では、設楽統・山崎弘也・バカリズム・飯塚悟志らとの出会いや関係性について、たっぷり語っていて、システムコントに対抗するようにシチュエーションコントを創り出していったことが描かれていました。漫才は話術、コントは世界観なのです。
昨日のR1グランプリでは、お見送り芸人しんいちが優勝しましたが、今ひとつ爆発力に欠けるものでした。
理由は、女性芸人の『THE W』と同じく、ジャンルが異なるものを審査する難しさとネタが3分と窮屈なこと、それに芸歴10年以内の出場資格であるため、顔が売れていない芸人が多かったことが挙げられます。本当は、そこからの5年でぐーんと伸びる芸事がお笑いだと思うんですけどね。
ジュニアオールスター戦を観たような感じ。優勝しても、活躍できていない芸人が多いのは、そんなせいだと思いました。残念!