あらゆるスポーツの中で、競技を行う場所のサイズが違うのは、野球だけなんじゃないかと思ったりします。
マウンドからホームベースと塁間の距離こそ統一されておりますが、外野の広さ、フェンスの高さ、ファウルグラウンドの大きさなどは、ことごとく違っています。
したがって、球場によって、投手有利や打者有利の違いが生じているのです。このことをパークファクターと呼んでいます。
昨年のデータでは、最も得点が入りやすいのが東京ドーム、入りにくいのが中日のバンテリンドーム、本塁打が出やすいのが神宮球場、出にくいのがバンテリンドームでした。
スワローズには、バレンティンや池山、広沢、ペタジーニなど、球場に合ったホームランバッターの系譜があり、今も山田・村上に引き継がれています。反面、投手には不利なホームグラウンドであるため、ドラフトで有望な投手を獲得しても、なかなか花が開かない葛藤がありました。
古くは、永川英植・酒井圭一・荒木大輔・佐藤由規、最近では竹下真吾・寺島成輝・木澤尚文が期待外れ組。
2019・20年は、打ったホームランの数より打たれた方が多かったのです。
そこで、昨年から投手コーチに伊藤智仁が復帰し、意識改革を図りました。不利なカウントとならないよう攻めの投球に徹し、ストライクゾーンで勝負せよと。
昨季の投手たちの与四球率を前年と比較してみましょう。最初の数字が2020年のものです。両年共に20回以上投げた投手を対象としています。
石川雅規 2、24→1、76
石山泰稚 2、22→1、64
梅野雄吾 3、61→3、20
小川泰弘 2、19→2、10
今野龍太 4、62→3、63
清水 昇 2、70→2、39
高梨裕稔 3、64→2、18
高橋奎二 3、94→2、87
星 知弥 4、50→4、07
スアレス 3、61→3、74
マクガフ 2、93→3、22
吉田大喜 4、54→4、63
ほとんどの日本人投手が改善されているのが分かります。これが、コーチの影響であると見ています。その結果、年間チーム与四球338は、過去5年両リーグを通じて最少となりました。
加えて20イニングスを投げた投手の奪三振率9以上は、マクガフ・石山・梅野・星・吉田・清水・高橋・今野・サイスニードとズラリ並びます。
四球を出さなくて、三振が獲れればいいに決まってますよね。これらの投手が後ろを固めているのが、ヤクルトの強さを支えていたのです。ホームラン対策は、ボールをバットに当てないことだと。
ヤクルト打線の強みは、左打者に偏重しておらず、左投手からホームランを打てるところです。
日本人の左打者は、もともと右利きであることが多く、ヒットは量産できるもののパワーがありません。だから、本当は右打者が揃っている方が、打線に迫力が出ます。スワローズの外国人、オスナ・サンタナが二人とも右利きだというのは偶然じゃないんです。DeNAと阪神もそうですが、助っ人には右打者が効果的だってこと。知る人ぞ知る、です。
不安材料は、レギュラーが固定化して層が薄いこと。主力にアクシデントがあると、途端にピンチを迎えます。縁起でもないけど。