プロ野球界では、リーグ連覇が非常に難しくなっています。
それは、勝ち続けるほど、中継投手が疲弊していくからです。
ところが、オリックスでは、この点において明確な方針が立てられており、シーズン通算で50試合を超えないように起用を考えています。
例えば、セ・リーグの覇者であるヤクルトの登板数上位4人が、清水(72試合)マクガフ(66)今野(64)石山(58)であるのに対し、オリックスは、富山(51)ヒギンズ(49)平野(46)山田(43)と抑えられているのです。優勝チームの場合、これにプレーオフや日本シリーズでの登板も加わるので、疲労の積み重ねが増しますが、それを差し引いてもベンチのマネジメントがしっかりしていることを窺わせます。
それにしても、昨年の吉田正尚の打席は神がかっていました。
2年連続の首位打者も凄いんだけど、年間を通じて26回しか三振しておらず、三振率5、71という少なさは、両リーグ通じて圧倒的な数字です。
吉田選手は、前年も5、89と低く、何かを掴んだように思います。プラスを出すというよりも、マイナスを出さないという発想法が、安定した成績に繋がっていると言えるでしょう。
吉田選手のカウントごとの打撃成績は以下のとおりです(カッコ内はセ・リーグ首位打者の鈴木誠也選手の記録)。
0ストライク時 73打数39安打 打率 .534 8本塁打(85打数29安打 打率 .341 10本塁打)
1ストライク時 163打数49安打 打率 .301 9本塁打(118打数53安打 打率 .449 19本塁打)
2ストライク時 153打数44安打 打率 .288. 4本塁打(232打数56安打 打率 .241 9本塁打)
こうやって見ると、吉田選手が追い込まれたとき、大振りしない打撃スタイルに変えているのが窺えます。だからこそ、三振が少ないのだと。
鈴木選手の場合、勝負が遅いのは、配球を読みながら対応を考えていて、強く振っていくのは変わらないというような。面白いですね。
日本のエースに成長した山本由伸投手と並ぶ20代の二枚看板は、今年もオリックスの顔であります。
不安材料が一つ。
阪神の項で前年の二軍成績が重要だと書きましたが、対照的にズルズルと成績を落としているのがオリックスです。
2019年 55勝53敗9引分け ウエスタン2位
2020年 42勝38敗6引分け ウエスタン3位
2021年 37勝71敗3引分け ウエスタン5位(最下位)
2020年8月まで二軍監督を務めていた中嶋聡監督が、育てたとも言える杉本・宗・紅林・太田・宮城・富山らの活躍で、一気にリーグ優勝まで駆け上がったバッファローズですが、ここへ来て弾が切れてきました。高卒2年目の来田涼斗以外、二軍にこれといった選手が見当たらないのです。
ドラフトでは育成を含めて10人の指名をしたものの、高校生は一人だけ。そのあたりにチーム編成の焦りが見られますが、どうでしょう?