都会のネズミと田舎のネズミ

時事ネタを拾いながら、笑いの方向へと導きます。3打数1安打を目指しています。

カエルの小指

誰かの行動を止めたい場合、暴力が有効だが、誰かに何かの行動を起こさせる場合には、暴力よりも言葉が有効だそうです。だから、世の中には強盗や恐喝よりも圧倒的に詐欺の方が多い。しかも、詐欺被害は表面化していないものも多く、それはダマされた方がダマされたと思いたくない心理も働くようです。加害者は本当は悪い人じゃないってのもあるし、間抜けな自分を知られたくないってのもある。

高齢者へのアプローチに成功したら、お金を引き出すなんて簡単です。高く売ればいいのだから。オレオレ詐欺みたいに根こそぎ持って行こうとするから捕まるのであって、商取引であれば、犯罪にはならない。老朽化した家のメンテナンスだと言って、屋根の張り替えだとか水道管の改修だとか、カモられている人は多いことでしょう。

若い人が相手ならば、色仕掛けです。学生時代、英会話教材でそういうアプローチがたくさんあったし、就職すると生保のお姉さんが飲み会接待みたいなことをしてました。詐欺じゃないけど、詐欺みたいなもんです。

そして、三千円の壺が百万円になってしまう。うーん、境界線が難しい。きょうかいねぇ?

 

『カエルの小指』(道尾秀介著・講談社文庫)は、詐欺師から足を洗い、実演販売士となった主人公のもとに、訳ありの中学生少女が母親の仇をとってほしいと頼み込む話です。詐欺師と実演販売士(マネキン)は似たようなところがあって、人間心理にグイグイ食い込んでいきます。その精神状態の描き方が面白い。主人公のグループがそんな風になったのは、それなりの理由があって、前作の『カラスの親指』(講談社文庫)を読んでいないと分かりにくいところもありますが、道尾秀介ならではの伏線回収の連続があって、たっぷりと楽しめます。

劇中の小中学生が大人び過ぎているところにリアリティが欠如しているものの、ジェットコースター的展開は見事。後味も極めて良いので90点。